統合失調症は治った、克服はまだ #統合失調症 #克服
私は30歳の頃、統合失調症になった。
今は薬を何も飲んでいないし、病院にも行ってない。
幻覚も見えないし、日常生活も送れている。
結婚もしたし、仕事もして、今は育休中。
この状態を治ったとしてよいなら、私の場合、統合失調症は治りました。
ただ、臆病にもなりました。
病気は治ったけれども、克服はできていません。
若い頃、私は仕事をバリバリしていたし、それなりに実績を積み上げたつもりです。
けっこう思ったことはホリエモンほどではないけれど、ズバズバ言う人間でした。
今は、そういう力がない。
人が陰口言うのを「そういうのは嫌だ」と突っぱねる力がない。
仕事も、責任が重くなってくるとこれ以上の負担は、また病気を呼び戻すのではないかと不安になります。
だから、病気って、治ることと克服することはまた違うんだと、今は思っています。
たぶん、それって他の病気も同じですね。
治った道筋は、私の場合、副作用がひどく出たから。
入院中に飲んでいた薬はそうとう強かったのでしょうね。体じゅうに蕁麻疹みたいな発疹が出たし、血小板も減ったりしたから、主治医の方で軽い薬に変えざるをえなかったんです。
そのあとジプレキサとバロプロ酸ナトリウムをしばらく服用しましたが、今度はホルモン異常で生理がこなくなっちゃった。
それで、エビリファイという薬、これは統合失調症の薬の中ではかなり軽いものらしいのですが、これに切り替わりました。
あとはリズムの整った生活とリハビリです。地道ですが、それしかない。
あの頃は病気を治したい、ここからのしあがりたいという気持ちが強かったです。
幸い、私は昔知り合った師長さんが看護部長になっていて、自分の職場でリハビリをしてよいと言ってくださったから、本当に週三日間午前中だけという短い時間からはじめて、続けていくうちに平日五日間、定時での日勤をこなせるようにはなりました。
焦りはダメです。どうしても焦ってしまうのだけど、無理するとかえって悪化しますから、やっぱり無理しないで続けるのがよいですね。
慣れたら少し仕事の時間をのばす、あるいは主治医に薬を軽くしたいと告げる。そうやって、仕事をはじめて一年くらいで、私はエビリファイ最低量5mgのみの服用で日勤をこなせるようになりました。
最終的に薬を飲まなくて良くなったのは、結婚がきっかけのひとつです。
子供が欲しかったので、主治医に伝えたら大学病院を紹介してもらえました。エビリファイを内服していると、妊娠時奇形児ができるという副作用があったので、内服をしないで定期的に診察やカウンセリングをしてもらい、やっと内服をやめられました。
カウンセリングの方は、臨月が近づくと病院へ通うのも大変でしたから、それを伝えたら主治医から出産を優先するように言われました。そして、出産後何かあったら来てくださいとのことだったので、そこから外来通院もしていません。
私、思うんだけど、精神科にせよ身体の怪我や病にせよ、やはり、治ることと克服することは違いますね。
例えば、バイクの転倒事故で大怪我をして、入院して、最終的に治癒して動けるようになったとする。
でも、こういうことを経験した人って、また事故に遭う前と同じようにのびのびバイクを運転することなんてできないんじゃないだろうか。
できないまでいかなくても、元通りになるのにはそうとうの苦労がいると思うんです。
それどころか、バイクにすら乗ろうと思わなくなる。
だから、克服っていうのは、そうした病、怪我などが治癒して日常生活が送れるようになることを言うのではなく、バイクの運転をなんらためらうこともなくできるようになるまで。
そういうことじゃないかな。
だから私はまだ、病気は治ったけれども、克服はできていない。他人のことを信頼することが簡単ではないです。
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